この小さな紫の花は「まつばうんらん、松葉海蘭」といいます。雑草の一つですが、最近ではよく、戸外で群生しているのを見かけます。自宅のいくつかの鉢元にも毎年この時期に、生えてきてくれ、楽しみにしています。
さて、今回は睡眠時無呼吸症候群の話です。
私が研修医のころ下顎形成不全(下顎が生まれつき小さい)のかたで、昼間いつも居眠りをし、倒れてしまい、生傷が絶えないというかたが入院してきました。顎が小さいため、臥位になると気道が狭くなり、さらに、睡眠時には筋肉の緊張がとれるため、舌根が沈下して、気道が詰まり、自分の舌で窒息の様な状態になるわけです。しかし、とことん苦しくなると、さすがに睡眠状態が浅くなり、筋肉の緊張も戻り、気道が解放され、激しいいびきとともに、息を吹き返すということを一晩中繰り返すわけですから、夜、十分な睡眠がとれる訳はありません。それで昼間もうつらうつらされているわけです。いわゆる睡眠時無呼吸症候群です。
この睡眠時無呼吸症候群の原因には大別すると、中枢性と末梢性の2種類があります。中枢性というのは、呼吸中枢の機能不全で無呼吸が起きるもの、末梢性というのは気道の閉塞で無呼吸が起きるものです。この方は、末梢性の睡眠時無呼吸症候群でした。
無呼吸の治療には、肥満が原因のかたの場合の減量や、下顎の位置を修正し気道を開放させるマウスピースや、夜間、呼吸に陽圧をかけて気道開通を図るCPAP装置装着などがありますが、この方は結局、気管切開をすることで、睡眠を取り戻し、退院されました(本ホームページの私のインタビュー記事でも触れた患者さんです)。
睡眠時無呼吸症候群があることで、いろんな他の病気になることがわかってきています。その一つに高血圧があります。高血圧治療をしている方の中にこの無呼吸症候群が原因で高血圧になっている方がおられるかもしれません。そういう方は、無呼吸を治療することにより、血圧も改善することが知られています。
ご家族にいびきや無呼吸を指摘された方は、ぜひ相談ください。