コロナの流行が収まるどころか第5波が襲い、出歩くこともままならず、我慢の日々が続きますね。写真は待宵草です。梅雨ごろ、プランターに勢いよく直立する雑草が生長してきたので、様子をみていたら、やがて黄色い花を咲かせたのは、待宵草でした。夜8時頃に花が咲き、翌日午前中にはしぼむ、一日花です。写真は8月上旬早朝に撮りました。その後1mを優に超えて高くなり、中旬の暴風で傾いてしまいましたが、いまなお毎日花を咲かせてくれています。

8月上旬の待宵草の写真

さて、今回は心臓弁膜症のお話をしたいと思います。テレビでも心臓弁膜症啓発用のコマーシャルが流れているので注目されている方も多いと思います。心臓には4つの弁があります(下図参照)。その弁が、かつてはリウマチ熱という感染症や最近では加齢による影響で傷んでくることによって弁の機能が障害される病気が心臓弁膜症です。とくに、僧房弁(左心房と左心室の間にある弁)と、大動脈弁(左心室から大動脈につながるところにある弁)が障害を受けることが多いです。例えば、大動脈弁が硬くなり、開きにくくなると大動脈弁狭窄症という病気になります。高齢化にともない、この弁膜症が特に増えています。

この大動脈弁狭窄症は、最近、手術ではなくカテーテルを用いて人工弁を心臓内の傷んだ弁の位置に設置する治療が開発されましたので、今まで手術には耐えられなかった方でも治療できるケースが増えてきました。

大動脈弁狭窄症の症状としては、全身倦怠感、労作時息切れ、そして時には、失神発作というのもあります。心臓から血液を押し出すその出口が狭くなっているので、血液の流れが悪くなり脳に血液が回らなくなり意識を失うわけです。ただ症状は、かなり狭窄が進むまで出ないことも多いです。

診断は聴診で心雑音があることがきっかけとなり、心臓エコー検査をすることでほぼ診断を確定できます。ガイドラインによって、手術を勧めるタイミングというのが決められているわけですが、症状のない患者様は、弁の障害が進行していてもなかなか、手術には同意されません。また症状が出現してきても、年のせいと感じ、病気と認識されないことも多いわけです。

しかし、症状はいったん現れると急速に進行します。或いは、突然の心不全発作で救急入院されることもあります。すると心機能が急激に低下してしまいそれから手術をしてもあまりいい結果にならないこともあります。したがって、弁狭窄の高度な方はできれば症状がでる前に手術をしていただくよう、外来で経過をみながら説明を繰り返し、同時に症状の有無も確認していきます。手術を受けられると、一つ大きな病気を克服されて、その後も元気に生活を送られる方が多く、医療の進歩を実感できる疾患の一つと思います。

日本心臓財団の心臓の写真
日本心臓財団ホームページより