今回はうがい(含嗽)についてお話します。
うがいは風邪の予防に効果があるのでしょうか?もちろん効果あると信じて日々、皆さんうがいを励行されていることと思います。そして、答えですが、いわゆる一般的な風邪への効果ということであれば、答えはイエスです。しかし、これが、インフルエンザの予防に、あるいは新型コロナウイルス感染症の予防にとなりますと、答えはイエスともノーとも言いづらくなります。
以下に説明していきます。

うがいは手洗いとともに感染症予防に推奨されてきたと思います。しかし、うがいが感染症に有効であるという明確なエビデンスは少なく、一般的な風邪に対して報告があったのが、2005年のSatomura先生の英語の論文(Am J Prev Med. 2005、302)です。この研究では、はっきり水でのうがいが有効とでておりました。従って、いわゆる風邪への効果ということであれば、答えはイエスでいいと思います。
しかし、インフルエンザへの効果については明確なデータはないようです。そのためかわかりませんが厚労省ホームページのインフルエンザQ&A「インフルエンザの予防のためにどうするか」ではうがいは省かれています。また、新型コロナウイルスに対してイソジン含嗽がウイルス量の排出を減らすという報告もありましたが、確立はされていないようです。

そしてさきほどのSatomura先生の研究でもう一つ注目すべきは、イソジンで含嗽するのはむしろ効果が悪く、水でのうがいのほうが良い結果がでたことです。
そもそも、イソジンは消毒薬でヨードを含んでおり、滅菌作用があるのですから、細菌やウイルスだけでなく人の正常の粘膜も障害してしまうので、使い方は注意を要します。
濃い濃度のイソジン含嗽も正常の口腔粘膜を障害してしまうと考えられています。
しかもイソジンのヨードは量も多いので、連日うがいし続けるとヨード摂取過剰となり、人によっては甲状腺機能が低下してくることも心配です。

最後に、うがいをするときの注意点を言いますと、ぷくぷくうがいをまずしてから、がらがらうがいをすることです。口腔内特に唾液を洗い流す感じで、先に口の中をうがい水で洗うこと(ぷくぷくうがい)が大切です。そしてもう一点、うがいをするときは、エアロゾル(飛沫より細かいしばらくの間空気中を漂う粒子)が発生する可能性があるということです。したがって、できるだけ静かに、換気などに注意しながら、水或いはヨードの含まない含嗽剤でうがいをしていただければと思います。

今年も彼岸花の季節になりました。彼岸花は本コーナー再登場となりますが、今回は白花の彼岸花も写しこみました。花期は短いですが、同時に咲き出すので華やかです。アゲハ蝶も熱心に蜜を吸っていました。

彼岸花 白花
彼岸花 アゲハ蝶